2018年1月26日(金)にようやく発表となった、各サービス毎の改定報酬額。サービス毎に緩急はあるものの、全体的な所感として「思ったほど厳しい改定にはならなかった」という感覚を覚えるような内容に着地した今回の法改正・報酬改定。
以降はこれらの数値・情報を踏まえ、各事業者ごとにどのように対応していくのか?について、今まで以上に具体的な検討を行うことになろうかと思います。
今回のブログにおいては全てのサービスの変更内容について確認・吟味を行う事は難しい中、特に今回、中でも大きな報酬減となった通所介護サービス、特に大規模Ⅱ型の改定のポイントを確認してまいります。

では先ず、基礎報酬の改定内容についてです。
先ず、地域密着型通所介護については、3時間以上4時間未満に移行した場合は、現状比較において4.1%~4.6%前後の減収。それ以外の時間区分への移行については全て現状維持~プラス改定となりました。一方、通常規模型以上の通所介護については、基本的には“プラス改定”はなく、よくて現状維持~マイナス改定で着地。大規模Ⅱ型に至っては、3時間以上4時間未満のサービスとなると最大で7.3%ものマイナスとなっており、これらの数値が与える経営上の打撃は大変大きいものと思われます。あとはこれらのマイナスを少しでも吸収していくことを念頭に、既存の稼働率向上や定員数の拡大、効率的な運営方法の模索、或いは加算の取得等を検討していく事になるでしょう。

ここでは新たに次年度に創設、或いは変更となる加算内容を中心に確認してまいります。先ず始めは「生活機能向上連携加算」についてです。

生活機能向上連携加算
【概要】
自立支援・重度化防止に資する介護を推進するため、生活機能向上連携加算を創設し、通所介護事業所の職員と外部のリハビリテーション専門職が連携して、機能訓練のマネジメントをすることを評価する。

【単位数】
<現行>     <改定後>
なし     ⇒  生活機能向上連携加算200単位/月(新設)
※個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月

【算定要件等】
〇訪問リハビリテーション若しくは通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が、通所介護事業所を訪問し、通所介護事業所の職員と共同で、アセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること
○リハビリテーション専門職と連携して、個別機能訓練計画の進捗状況を3月ごとに1回以上評価し、必要に応じて計画・訓練内容等の見直しを行うこと。

続いて、「ADL維持等加算」についてです。

ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)
【概要】
自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内に当該事業所を利用した者のうち、ADL(日常生活動作)の維持又は改善の度合いが一定の水準を超えた場合を新たに評価する。

【単位数】
<現行>    <改定後>
なし    ⇒ ADL維持等加算(Ⅰ) 3単位/月(新設)
ADL維持等加算(Ⅱ) 6単位/月(新設)

【算定要件等】
〇以下の要件を満たす通所介護事業所の利用者全員について、評価期間(前々年度の1月から12月までの1年間)終了後の4月から3月までの1年間、新たな加算の算定を認める。
○ 評価期間に連続して6月以上利用した期間(注1)(以下、評価対象利用期間)のある要介護者(注2)の集団について、以下の要件を満たすこと。
① 総数が20名以上であること
② ①について、以下の要件を満たすこと。
a 評価対象利用期間の最初の月において要介護度が3、4または5である利用者が15%以上含まれること
b 評価対象利用期間の最初の月の時点で、初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12月以内であった者が15%以下であること。
c 評価対象利用期間の最初の月と、当該最初の月から起算して6月目に、事業所の機能訓練指導員がBarthel Index(注3)を測定しており、その結果がそれぞれの月に報告されている者が90%以上であること
d cの要件を満たす者のうちBI利得(注4)が上位85%(注5)の者について、各々のBI利得が0より大きければ1、0より小さければ-1、0ならば0として合計したものが、0以上であること。
注1 複数ある場合には最初の月が最も早いもの。
注2 評価対象利用期間中、5時間以上の通所介護費の算定回数が5時間未満の通所介護費の算定回数を上回るものに限る。
注3 ADLの評価にあたり、食事、車椅子からベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計点を100点満点として評価するもの。
注4 最初の月のBarthel Indexを「事前BI」、6月目のBarthel Indexを「事後BI」、事後BIから事前BIを控除したものを「BI利得」という。
注5 端数切り上げ
○ また上記の要件を満たした通所介護事業所において評価期間の終了後にもBarthel Indexを測定、報告した場合、より高い評価を行う((Ⅰ)(Ⅱ)は各月でいずれか一方のみ算定可。) 。

最後に、栄養改善加算の基準緩和、及び、栄養スクリーニング加算の創設についてです。

栄養改善加算、及び、栄養スクリーニング加算
ア 栄養改善加算の見直し
○ 栄養改善加算について、管理栄養士1名以上の配置が要件とされている現行の取扱いを改め、外部の管理栄養士の実施でも算定を認めることとする。
イ 栄養スクリーニングに関する加算の創設
○ 管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合の評価を創設する。

【単位数】
○アについて
<現行>              <改定後>
栄養改善加算150単位/回⇒ 変更なし
○イについて
<現行>              <改定後>
なし              ⇒ 栄養スクリーニング加算5単位/回(新設) ※6月に1回を限度とする

【算定要件等】
ア栄養改善加算
○ 当該事業所の職員として、又は外部(他の介護事業所・医療機関・栄養ケア・ステーション)との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
イ栄養スクリーニング加算
○ サービス利用者に対し、利用開始時及び利用中6か月ごとに栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に係る情報(医師・歯科医師・管理栄養士等への相談提言を含む。)を介護支援専門員に文書で共有した場合に算定する。

以上、簡易ながら、今回は通所介護に的を絞り、かつ、大きな変更・創設点のみに絞ってお伝えさせていただきました。

上記に創設された加算を見る限り、短期的には“見合わない(=加算を取得する為に発生する初期投資と得られる追加報酬がバランスしない)”と感じられる事業経営者様も中には相当数、いらっしゃるかもしれません。

しかし今後、通所介護においては上記加算が示すような方向がより一層、強く求められてくることは間違いなく、その意味では短期の判断軸(=見合う・見合わない)だけではなく、中長期の視野に立った“体質改善”的な動きも合わせて具体的に検討していくことも、場合によっては必要となってくるのではないでしょうか(これは恐らく、全てのサービスに共通する内容だと思います)。

そのような視点のもと、今回の改正・改定の資料にあらためてじっくりと目を通しつつ、「短期と中長期の両面から、自社としてはどう考えるか?」について、社内議論を深めていかれる事を是非、おススメする次第です。私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努