Q&A

Q1
A子さんの夫(昭和40年4月20日生まれ)は、小売店を営む自営業者で昭和60年4月から国民年金に加入していました。平成26年6月12日に亡くなりました。A子さんは現在44歳で、平成7年6月に結婚し、その後は専業主婦です。A子さんは17歳の長男と14歳の長女と3人で暮らしていて、子どもたちは2人とも健常者です。A子さんの夫は死亡するまでの間、国民年金の保険料は納付しています。残されたA子さんの家族はどのような遺族給付が受けられるのでしょうか。


A1
A子さんの夫は、小売店を営む自営業者で、20歳から国民年金に加入し、被保険者であった期間に死亡しているので、遺族基礎年金の支給対象となります。遺族基礎年金を受給するためには、原則として、①死亡した方の要件、②保険料納付要件、③遺族の要件の3つを満たす必要があります。
A子さんの夫は、国民年金の被保険者の死亡であること、また、国民年金の被保険者期間が25年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした者の死亡である、という死亡した方の要件に該当します。
A子さんの夫は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした者であるため、保険料の納付要件は問われません。なお、仮に保険料納付要件が問われる場合でも、保険料滞納期間がないことから、保険料納付要件を満たすことになります。
遺族基礎年金を受けられる遺族は、被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって、生計を維持されていた子のある配偶者、または子となります。
子の要件は、18歳到達年度の末日まで、または20歳未満で、障害等級1級または2級の障害の状態にある子で、かつ現に婚姻をしていない子となります。
A子さんは専業主婦であったこと、また、17歳の長男と14歳の長女の2人の子がいることなどから、遺族基礎年金の遺族の要件に該当します。したがって、受給要件のすべてを満たしているので、A子さんは遺族基礎年金を受給する事が出来ます。
遺族基礎年金の額は、基本額 779,300円であり、子のある配偶者が受給権者である場合は、
子の数に応じて加算が行われます。(224,300円×2=448,600円)A子さんは2人の子がいることから加算された遺族基礎年金が支給されますが(779,300円+224,300円×2=1,227,900円)、その子全てが18歳到達年度の末日を迎えてしまうと、遺族基礎年金は支給されなくなります。
しかし、A子さんは亡くなった夫が国民年金の第1号被保険者としての保険料納付期間と保険料免除期間を合算して、25年以上あり、婚姻期間が10年以上継続していたことから、60歳から65歳(老齢基礎年金が受給出来るまで)になるまでの間、寡婦年金を受給することが出来ます。寡婦年金は老齢基礎年金が支給されるまでのつなぎとして支給される年金ですから、老齢基礎年金の繰り上げ請求をすると寡婦年金は支給されなくなります。
Q2
B子さんの夫(昭和30年5月12日生まれ)は昭和52年5月から丁社に勤務しており、厚生年金保険に加入しておりました。60歳で定年退職の予定でしたが、平成26年5月26日に亡くなりました。
B子さん(昭和30年11月20日生まれ)は、昭和50年11月から丁社に9年6カ月勤務し、昭和60年5月に結婚と同時に退職いたしました。結婚後は専業主婦で昭和61年4月からは国民年金に加入しています。長男は現在、26歳で結婚しています。
B子さんはどのような遺族給付が受けられるでしょうか。


A2
B子さんの夫は、在職中に死亡したため、死亡の当時、厚生年金保険の被保険者であり、同時に老齢厚生年金の受給資格期間(加入期間37年)を満たした者の死亡であるため、死亡した方の要件は満たしております。保険料納付要件も老齢厚生年金の受給資格期間(加入期間37年)を満たした者の死亡であるため問われません。
遺族基礎年金を受けられる遺族は、被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持されていた子(障害等級1.2級に該当しない場合は、18歳の年度末まで)のある配偶者、または子(障害等級1.2級に該当しない場合は、18歳の年度末まで)であるため、長男は26歳であり、子の要件に該当しないので、遺族基礎年金は受給出来ません。
遺族厚生年金を受けられる遺族は、被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって、生計を維持されていた①配偶者・子(障害等級1.2級に該当しない場合は、18歳の年度末まで)②父母 ③孫 ④祖父母であり、B子さんは該当します。
したがって、B子さんは遺族基礎年金は受給出来ませんが、遺族厚生年金は受給出来ます。

遺族厚生年金の年金額は、死亡した者の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3相当額です。遺族厚生年金の計算式には、短期要件と長期要件がありますが、いずれにも該当する場合は選択となり、選択の申出をしない場合は短期要件として計算されます。

夫の死亡の当時、40歳以上であって、遺族基礎年金の加算対象になっている子がいないため、遺族基礎年金を受けることが出来ない妻に、40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
B子さんの場合、夫の死亡当時58歳であり、遺族基礎年金の加算対象となる子がいないため、遺族厚生年金に65歳に達するまで中高齢寡婦加算が加算されます。

B子さんは結婚までの9年6カ月間、厚生年金保険の加入期間があり、受給資格期間が25年以上を満たしているので、60歳から60歳台前半の老齢厚生年金を受給することが出来ます。しかし、60歳台前半の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給されず、60歳台前半の老齢厚生年金と中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金のいずれかを選択することになります。

65歳以降は、B子さん自身の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は本来の遺族厚生年金と老齢厚生年金との差額が支給されることになり、B子さん自身の老齢厚生年金の2分の1と遺族厚生年金の3分の2の合算額とも比較し、多い方を受給する事が出来ます。

B子さんは国民年金の第3号被保険者でしたが、夫の死亡により第1号被保険者となるため、種別変更の手続きをしなければなりません。また、60歳になるまで国民年金の保険料を支払う必要があります。

Q3
私たちは共に再婚でしたが、夫の連れ子と私の連れ子と一緒に暮らしていました。夫が死亡したので、遺族年金の請求をしたいと思っています。夫の子とは現在も同居しており、養子縁組はしておりません。また、私の連れ子は死亡した夫と養子縁組をしておりません。私たち3人には遺族基礎年金は支給されますか。


A3
あなたとあなたの夫の連れ子は、国年法及び厚年法上の遺族の範囲に入ります。あなたの連れ子と夫とは、事実上の養子同様であったと思われますが、事実上の養子は親子関係がないために遺族基礎年金の遺族の範囲に含まれません。遺族基礎年金は、受給権者である夫の連れ子と生計を同じくする妻に支給されるものですから、あなたとの親子関係がなくても支給対象になります。

ポイント①
事実上の養子は、遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権者にはなれません。

Q4
私は、夫の死亡による遺族基礎年金を受けていますが、障害者となって障害基礎年金1級が受けられるようになりました。そこで、私が障害基礎年金を受けるようになると、遺族基礎年金は子に支給されますか。


A4
あなたが、障害基礎年金を選択した場合、あなたの遺族基礎年金は支給停止となります。一方、お子様に対する遺族基礎年金については、あなたの遺族基礎年金が支給停止されても受給権はあるため、引き続き支給停止となります。
八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努