遺族年金での生計維持・生計同一性

生計維持とは
「死亡した方によって生計を維持されていた方」には、死亡当時、死亡した方と生計を同一にしていた方で、原則として、前年の年収が850万円未満、または前年の所得が655.5万円未満(前年の年収または所得が確定しない場合、前々年)の方が該当します。死亡当時の前年の年収で判断されるため、遺族年金の受給権を取得した後に収入が増加しても失権する事はありません。また、死亡当時の前年の年収が850万円以上、または前年の所得が655.5万円以上であっても、おおむね5年以内に年収が850万円未満、または所得が655.5万円未満となると認められる事由(退職や廃業など)がある方は、遺族年金を受給することが出来ます。

生計同一に関する認定要件
①生計維持認定対象者が配偶者又は子である場合
ア 住民票上同一世帯に属しているとき
イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき
ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき
  ㋐現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき。
  ㋑単身赴任、就学又は病気療養等の止むを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、次のような事実が認められ、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められるとき
㋒生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること
㋓定期的に音信、訪問が行われていること

②生計維持認定者が死亡した者の父母、孫又は祖父母である場合
ア 住民票上同一世帯に属しているとき
イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一であるとき
ウ 住所が住民票上異なっているが、次のいずれかに該当するとき
  ㋐現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき。
  ㋑生活費、療養費等について生計の基盤となる経済的な援助が行われていると認められるとき

認定の方法
(表1) 生計同一に関する認定関係

認定対象者の状況区分 提出書類
①ア 住民票(世帯全員)の写し
①イ aそれぞれの住民票(世帯全員)の写し
b別世帯となっていることについての理由書
①ウ㋐ aそれぞれの住民票(世帯全員)の写し
b同居についての申立書
c民生委員等第三者の証明書又は(表3)に掲げる書類
d別世帯となっていることについての理由書
①ウ㋑ aそれぞれの住民票(世帯全員)の写し
b民生委員等第三者の証明書又は(表3)に掲げる書類
c別世帯となっていることについての理由書
②ア 住民票(世帯全員)の写し
②イ それぞれの住民票(世帯全員)の写し
②ウ㋐ aそれぞれの住民票(世帯全員)の写し
b同居についての申立書
c民生委員等第三者の証明書又は(表3)に掲げる書類
②ウ㋑ aそれぞれの住民票(世帯全員)の写し
b民生委員等第三者の証明書又は(表3)に掲げる書類

(表3) 第三者証明に代わる書類

①健康保険の被扶養者になっている場合 健康保険被保険者証の写し
② 給与計算上扶養手当等の対象になっている場合 給与簿又は賃金台帳の写し
③ 税法上の扶養家族になっている場合 源泉徴収票又は課税台帳等の写し
④定期的に送金がある場合 現金封筒、預金通帳等の写し
⑤その他①~④と同様と判断される場合 その事実を証する書類

(表2)収入に関する認定要件を証する書類

認定対象者 認定対象者の状況 提示書類
配偶者
父母
祖父母
①健康保険等の被扶養者 健康保険被保険者証等
②国民年金の第3号被保険者 第3号被保険者認定通知書又は年金手帳(第3号被保険者である旨の記載があるものに限る)
③公的年金の加給年金額対象者又は加算額対象者 年金証書及び裁定通知書
④国民年金保険料免除者 国民年金保険料免除該当通知書又は国民年金保険料免除申請承認通知書
⑤生活保護受給者 保護決定通知書
子・孫 ①義務教育終了前 不要
②健康保険等の被扶養者 健康保険被保険者証等
③高等学校等在学中 在学証明書又は学生証
④公的年金の加給年金額対象者又は加算額対象者 年金証書及び裁定通知書

(表4)内縁関係を認定するための書類

①健康保険の被保険者になっている場合 健康保険被保険者証の写し
②給与計算上扶養手当の対象になっている場合 給与簿又は賃金台帳の写し
③同一人の死亡について他制度から遺族給付が行われている場合 遺族年金証書等の写し
④挙式・披露宴等が最近(1年以内)に行われる場合 結婚式場等の証明又は挙式・披露宴等の実施を証明する書類
⑤葬儀の喪主になっている場合 葬儀を主催したことを証する書類
(会葬礼状等の写し)
⑥上記①~⑤のいずれにも該当しない場合 その他内縁関係を証する書類
(連名の郵便物等)

「事実婚関係にある者の判定基準」
事実婚関係にある者とは、

1.認定の要件
事実婚関係にある者とは、いわゆる内縁関係にある者をいうのであり、内縁関係とは、婚姻の届出を欠くが、社会通念上、夫婦として共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要するものであること。
①当事者間に、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
②当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

2.除外の範囲
前記1の要件を満たす場合であっても、当該内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合、すなわち、民法第734条(近親婚の制限)、第735条(直系姻族間の婚姻禁止)または第736条(養親子関係者間の婚姻禁止)の規定のいずれかに違反することになるような内縁関係にある者については、これを事実婚関係にある者とは認定しないものとする。

3.重婚的内縁関係の取扱い
 届出による婚姻関係にあるものが、重ねて他の者と内縁関係にある場合の取扱いについては、婚姻の成立が届出より法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先するべきことは当然であり、したがって、届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定すること。なお、内縁関係が重複している場合については、先行する内縁関係がその実体を全く失ったものを除き、先行する内縁関係における配偶者を事実婚関係にある者とする。

4.離婚後の内縁関係の取扱い
 離婚の届出がなされ、戸籍上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が上記1の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとする。
(昭和55年5月16日庁保発第15号)

①死亡した人の血族の子を伴って離婚した妻には、遺族基礎年金の受給権はありません。ただし、死亡した人からその子へ養育費が継続して送金されるなど、死亡した人と子の間に生計維持関係が認められる場合には、子に遺族基礎年金の受給権が発生します。(国年法第37条の2)
②死亡した人に、血族の子を伴って離婚した妻がおり、死亡した人とその子の間に生計維持関係が認められる場合で、死亡した人が再婚し後妻との間に子がある場合は後妻、先妻の子及び後妻の子に受給権が発生し、先妻の子と後妻の子の遺族基礎年金は支給停止されます。後妻の遺族基礎年金が失権した場合は、先妻の子と後妻の子の支給停止が解除されます。
③死亡した人が再婚しており、先妻の子と後妻が別生計で死亡した場合は、子に受給権が発生し、妻には受給権が発生しません。(国年法第37条の2 第1項第1号)
④子のある妻が再婚した場合、妻の遺族基礎年金は失権しますが、子は失権しません。子が再婚した夫の養子になったとしても、子は直系姻族の養子となるため失権しないことになっています。(国年法第40条第1項)
⑤①~④のいずれの場合も、子に支給される遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父または母がいる場合は支給停止されます。(国年法第41条第2項)
受給権のない養父母と生計同一の場合でも、遺族基礎年金は支給停止となります。
⑥養子については、死亡した人と離縁した場合に失権します。(国年法第40条第3項)

通達
被保険者Aが死亡し、その子Bが遺族年金の受給権を取得したところ、死亡後1年経過した時点で内妻の子CがAの子として認知の裁判が確定した場合、Cについて遺族年金の裁定を行うべきであるが、Bに係る遺族年金の額の改定は、認知裁判確定の時点以前にさかのぼって出来ない。(昭和33年1月25日保文発299)

八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努