今回の紹介したい働きがい(動機づけ)対策は2つあります。

 まず一つめは「承認」です。「承認」とは、コーチングの際などの「褒める」と同義語のように扱われる場合があります。私も概ねそのように捉えているのですが、あるとき、「承認」とは「み・ほ・こ・さん」である、という話を耳にしました。

 「み・ほ・こ・さん?」「女性の名前じゃないの?」などという声が聞こえてきそうですが、もちろん、覚えやすくするための語呂合わせです。

 相手を認めて(み)、褒めて(ほ)、相手の発言を肯定して(こ)、賛同していく(さん)で、「み・ほ・こ・さん」です。

 「なるほどなぁ」と私は思いました。読者の皆様も、「この覚え方がしっくりくる」と思った方は、「み・ほ・こ・さん」を導入してみてはいかがでしょう?

 実はこの「褒める」という行為についてですが、科学的にも効果が立証されているそうです。自然科学研究機構・生理学研究所の定藤教授らのチームが行った実験によると、人は何かを学ぶとき、褒められたほうがより記憶に定着しやすく、効果的に学習できる、ということが証明されました。

 大人でも「褒められる」とうれしいものです。「褒める」側が思っている以上に、「褒められる」側はうれしいのかもしれません。ですから、経営者層・管理職層は「ほめる」マネジメントについて、もっと真剣に考えたほうがよいでしょう。

 以下のチェックリストを参考にしてください。

<人を褒めるときのチェックリスト>

 □ふだんからよく観察して相手の長所を知っておく

  →あるとき急に褒めようとしても思いつかない

 □機を逃さずにその場で褒める

  →タイミングを外すと効果は半減する

 □褒めるときは目を見てしっかり言う

  →何かのついででは誠意がない

 □具体的な事柄を取り上げてほめる

  →抽象的な表現では思いが伝わらない

 □口先だけでなく心から褒める

  →本気でなければかえって逆効果になる

 □褒めるときは褒めることに徹する

  →ついでにケチをつけては反感を買う

 □できるだけ人前で褒める

  →まわりからの認知、賞賛も受けて効果は倍増する

 □他の人が褒めていることも伝える

  →第三者の賞賛はさらに嬉しく感じるもの
 
 特に若い人をほめる場合に心がけたいのが、仕事の結果だけを見るのではなく、プロセスにも注意を払うという点です。成果主義の職場では、えてして成果や出来栄えにばかり目が向くものですが、それでは未熟な若者を褒める機会は限られてしまいます。

 ●主体性を持って打ち込んでいるか

 ●人の教えや注意を守ろうとしているか

 ●自分なりに工夫をしているか

 こうした態度や姿勢の部分にも注目して、良いところがあれば惜しみなく褒め、顕彰することが自信につながり、モチベーションの向上に寄与するのです。

 「褒めるとナメられてしまう」「上司や先輩としての沽券にかかわる」というふうに思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。相手を最大限に認めるということは、コミュニケーションの礎を築くことに結びつきます。そういった信頼関係があってこそ、注意や叱責などを受け入れる気持ちも芽生えるものです。
 
 二つめの働きがい(動機づけ)対策です。

 「期待理論」という概念をご存知でしょうか?

 期待理論とは、人間は、「どこまで努力すればよいか?」という到達点が明確で、「どうすれば到達できるのか」という、戦略・道筋が具体的に描けており、「目標を達成することで、自分にどんな魅力的なことがあるのか」というメリットがはっきりとイメージ出来れば、動機付けが可能になるという理論です。

 また、「目標を達成することが、組織にとって、社会にとって、どんな意味を成すことなのか(どんな大義があるのか)」を説明することも、部下や組織を動かす上で大変重要だと言えます。

 管理職として、部下の「やる気スイッチ」をどのように入れるのかは、マネジメント上、大変重要です。部下が思う様に動かないと感じているのなら、このような視点から動機づけをしてみてはいかがでしょうか。

八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努