訪問介護等の登録ヘルパー向け求人対策について考えてみましょう。

 通常、登録ヘルパーさんは介護事業所の近くに住む主婦の方が多いと思います。事業所近隣の主婦層を求人のターゲットにするのなら、アナログな手法ではありますが、新聞の「折り込み」も捨て難い方法です。

 私がお勧めする「折り込み」とは、一般的な求人専門誌が作成する求人広告をさしているのではありません。広告代理店を通じて作成する求人広告のスペースに掲載依頼をすると、「こんな小さいスペースで、この金額!?」と驚くような費用を請求された経験はありませんか?

 そういった方法よりも、求人チラシを自事業所で作成・印刷して、新聞屋さんに直接持ち込むやり方のほうが効果的です。これだとA4の用紙1枚すべてに自分の事業所の求人を掲載できます。費用に関しては、新聞配達店によって、多少差があるかもしれませんが、私が以前に聞いた際は1枚3.3円でした。感じ方はさまざまかもしれませんが、コストパフォーマンスにたいへん優れている、という感触を私は得ました。

 「自分で求人広告を作成するなんて、自信がない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最近ではインターネット経由で、楽に、なおかつキレイに作成できる無料のテンプレートを取り寄せることができますので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 次にご紹介したいのは、南相馬市の介護老人保健施設が実施している求人事例です。

 入所者だけでなくご家族とも深く関わってきた経験のある、施設長の医師が目ざしているのは、要介護者だけでなく介護する方々をも救える施設になることだと言います。

 「今、この地域では介護職員が圧倒的に不足しています。そんな状況下で介護施設なんか建てて大丈夫なのか、とよく聞かれます。でも、その一方で、家でお年寄りの介護をすることに疲れている方もたくさんいるんです。それならその方々を、介護職員として雇ってしまえばいいんじゃないかと思って……」

 つまり家庭内介護の代わりに、要介護者とともに介護者も職員として迎え入れる、という新しい形の施設をつくりたい、と言うのです。

 家庭での介護と、介護職員としての介護。

 「介護」という内容自体はあまり変わらないように見えますが、どのような違いがあるのでしょうか?

 家での介護は「無給の24時間労働」でも介護職員になれば、多少なりとも給料が出る。そして何より大切なことは、「休日がもらえる」という発想です

 家の中で介護をされている方は、社会とのつながりを失い、家庭内でも介護自体を評価されることが少ないまま、24時間労働を強いられています。そんな方に休息を取ってもらいながら、お給料も出せる。その結果、今、介護施設で問題になっている“モラルハザード”の歯止めにもなるのでないか、という期待もあります。

 「身内が入所している施設であれば、モラルも低下しにくい。いずれは地域ぐるみで介護施設を支えていきたい」という壮大な理念があるようです。

 施設には当然、ご家族が面会にいらっしゃいます。

 面会の数を重ねるうちに、職員とも徐々に打ち解けていき、施設内の雰囲気もよくわかってくると思います。お互いに信頼関係が構築された後に雇用につなげていくので、双方安心、家族も入所しているので、なおさら安心です。

 実際にどのようにつなげていくのかは簡単です。施設の入口、あるいはエレベーター付近に「スタッフ募集」というチラシを貼っておけばよいのです。あるいは、月々の請求書などご家族と連絡を取り合う封筒などに同封しても良いですね。少し応用すれば、特養や老健などの施設系だけでなく、デイサービスでもやり方はあると思います。

 安倍政権の掲げる「介護離職ゼロ」の考え方にも、見事に合致するやり方だと思うのですが、いかがでしょうか。
 
 最後に、関東一円で病院や介護施設を展開している医療法人のケースです。

 この医療法人は、プロ、またはプロを目ざすアスリートやアーティストに対して雇用体系を整備し、生活に不安なく夢を実現するためのサポートを、2015年1月から開始しています。

 スポーツや芸能の世界でプロ、またはプロを目ざしている人は、練習、またはイベントなどを優先するあまり正規雇用への道が絶たれ、生活に不安を抱えたまま生活している人が多くいます。この医療法人では、このような夢を目ざす人材に対して、「雇用」という形でサポートしています。また、医療機関である強みを生かし、食事の提供や検査、医療費、マッサージなどの無料サポート、成績や種目によっては、参加費や報奨金の支給、社員寮を用意するなど、万全の体制でサポートしているようです。

 法人側にも多くのメリットがあると思います。

 ストレートに言うと人材不足の解消です。多くの介護事業所においては猫の手でも借りたぐらいですから、単純にありがたいと思います。

 以前も触れていますが、体育系の大学や専門学校の卒業生は、介護の仕事との親和性はかなり高いと思っています。

 プロを目ざすアスリートやアーティストの卵がスタッフにたくさんいるとすれば、大きな宣伝効果を生むでしょう。彼らが大成したあかつきには、施設訪問などしてくれればさらに訴求効果は上がります。

 しばしば、プロ野球選手やプロサッカー選手の引退後のセカンドキャリアについて、受け皿が少ないなどとマスコミで話題になります。そこまで踏まえてサポートできれば、大変有意義な取り組みになると思います。

 雇用に関する取り組みとして、「Win Win」の代表格になれるかもしれません。

 これほどまでのサポートはできなくても、興味のある介護事業所は、芸能事務所やプロスポーツの運営機構などに一度ご相談してみてはいかがでしょうか?

八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努