今回も「採用」に関する発信内容についてです。

前回「自事業所のウリについて」をテーマに書かせていただきましたが、「ウリ」というキャッチフレーズ的な切り口だけでなく、自事業所の具体的な活動内容についてもしっかりと伝えていただきたいと思います。

そのために、ホームページでの発信を常に心がけてください。

以前に求人票を作成するうえでの重要ポイントついてご紹介いたしましたが、求人票を見て、実際に入職試験(面接)を受けようとする場合、若い世代の方であれば、「必ず」と断言していいくらい入職試験(面接)先のホームページを確認します。

したがって、自事業所のホームページには求人票やその他の求人媒体には記載していない情報をできる限りたくさん、なおかつ具体的でわかりやすく記載する必要があります。

「求人票に記載していない情報」とは、具体的にどんな事を記載するのでしょうか。ここにいくつか例を挙げてみたいと思います。

筆頭はふだんのケアの様子です。これはホームページのブログ等になるかもしれません。その他のSNSも有効だと思います。外出の様子、レクリエーションの様子、アロマテラピーなどの少し変わった実践例、お花見、夏祭り、敬老会、クリスマス会等の行事も必須です。リハビリテーションの様子でもよいでしょう。自事業所の取り組みが他事業所と比べてユニークであれば、「ウリ」などと難しく構えなくても、日々の状況を発信するだけで自動的に「ウリ」が見えてくるでしょう。ポイントは、「楽しそうな様子」が読み手に伝わるかどうかです。ただし、ご利用者の顔など個人情報の流出にはご注意ください。

職員獲得という観点からすると、「先進的なケア」を行っているのであれば、その様子もぜひ発信していただきたいと思います。介護職員の多くは職場、仕事を通して成長したいと考えます。ナンバーワンやオンリーワンでなくても構いません。「認知症対応」や「喀痰吸引」「ユマニチュード」などの実践内容が、他事業所より少しは進んでいるかな、と考えられるのであれば、どんどん発信するべきです。就職を考えている方には、非常に魅力的に映る可能性があります。

次は、求人票に記載されていない条件についてです。

賃金、労働時間、休日、休暇、退職金の有無などは当然、求人票に記載されています。それ以外で特に重要なのが、研修制度です。先ほども記載したとおり、介護職員の多くは、自事業所に在籍することでどのように成長できるかを考えます。このような職員のニーズに応えるために、法人としてどのような研修を考えているのか、具体的なラインナップを記載することは、入職希望者には有用な情報だと思われます。

求人票のレベルであれば、たいてい「研修制度あり」などと漠然とした記載で終わってしまうと思いますが、ホームページであれば十分なスぺ―スがあるので、詳しく記載できると思います。介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を取得している事業所であれば、「キャリアパス」をそのまま記載しても良いのではないでしょうか。自分がこの事業所に在籍していれば、どのように成長・昇格をしていくのか、どのような研修を受けられるのかを表示しているのが「キャリアパス」です。元々従業員への周知が加算要件ですので、ホームページに出すことはそれほど難しくはないかもしれません。

前回の「未経験者歓迎!」と矛盾するようで申し訳ないのですが、逆に「このような人物を募集している」と対象を狭めて訴えたほうが良い場合もあります。募集対象者によって対応方法はケースバイケースです。「このような人物がほしい」と明確な希望がある場合は、限定的なメッセージを送ったほうが、そのカテゴリーにいる就職希望者の心に突き刺さる場合もあります。

最後にワーク・ライフ・バランス対策です。介護事業所は7割が女性労働者であるというデータがあります。女性労働者が「働きやすそう」と感じてもらえるように情報発信をすることは人材獲得競争において大変効果的です。求人票でもある程度は記載できると思いますが、求人票で記載しきれない部分はホームページで補っていただきたいものです。

育児・介護休業制度の遵守だけであれば、単なる法定義務に過ぎず、求人票にも記載欄があります。ですので、育児・介護休業制度以上の取り組みをしているのであれば、「私たちの事業所は仕事と家庭を両立できる、安心して働ける事業所ですよ」という部分をアピールしていただきたいのです。

安倍政権では、「一億総活躍社会の実現」に向けて、「介護離職ゼロ」という目標を掲げました。介護経営者である読者の皆様は日本の「介護離職ゼロ」を支える側だけではありません。「介護離職ゼロ」に向けて、日本社会全体を支えながら、まずは自事業所の職員が介護離職せずに働き続けられる事業所であることも忘れてはならないと思います。

八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努