自事業所の「ウリ(売り)」は何ですか? という問いかけは、職員獲得と利用者獲得の両面において非常に重要な観点となります。この「ウリ」という言葉、介護事業所において、最近ではかなり浸透してきているようです。

 「ウリ」は、必ずしもナンバーワンやオンリーワンという意味ではありません。 また、それをアピールする際にも、職員獲得と利用者獲得のように、目的が違う場合は、アピールポイントが変わってくることもあるかもしれません。でも、共通していることも多いので、そういう場合、「ウリ」を上手く活用しましょう。

 もし、あえてオンリーワンを狙うのなら、前回も述べたように「想いの見える化」が、一つの「ウリ」となるでしょう。ここでは、経営者のキャラクターや介護観といったものが、重要です。  また、これも前回触れましたが、未経験者の教育に自信があるのなら、それも大切な「ウリ」です。賃金面での待遇のよさや、有給休暇が取りやすいというのもまた、一つの「ウリ」となります。  通勤面でいうと、駅前に家があるのなら、それも「ウリ」です。

 このように雇用環境のなかには、山ほどヒントが隠れています。上記のどれかが当てはまるなら、ぜひしっかりとそこの部分をアピールしていただきたいと思います。

さらに事業所がどのような介護を利用者に提供しているのか、という点も重要な「ウリ」です。具体的な介護内容(できれば独創的であったり、先進的な内容)を記載するのも大きなアピールでしょう。「ウチはこんなに面白い介護をしていて、ご利用者の笑顔をたくさん引き出しています」もしくは「このような先進的な介護を行うことによって、ご利用者の状態がこんなにも良くなりました。よろしければ、一緒にご利用者の笑顔を引き出しませんか?」というアピールです。これは利用者獲得にも十分つながるでしょう。

 また、先輩職員の「生の声」も「ウリ」につながってきます。現場の職員さんたちは経営層、あるいは人事担当者と違った視点で自分の事業所の「ウリ」を捉えているかもしれません。利用者獲得の際は「お客様の声」を載せることは重要ですが、職員獲得であれば、「先輩職員の声」も説得力という点では非常に強力です。

そして「ウリ」という点で最も記載していただきたいのは。「チームワークの良さ」についてです。もちろん、本当にチームワークが良い場合に限りますが・・・。  平成25年の介護労働実態調査結果において、直前の介護の仕事をやめた理由の第1位が「職場の人間関係に問題があったため」でした。  私も長く介護業界に身を置いていたのでよくわかるのですが、この第1位の理由については、残念ながら、全くの同感です。

 たしかに、介護事業所の人間関係はややこしい。この問題は多くの事業所が抱えていま す。だからこそ、この問題をクリアできる事業所は、人材獲得競争で頭一つ抜けることができるのです。  これまで他の事業所で介護職員を経験した転職希望者の多くは、この問題をわかっています。ですから、これから転職しようとする場合、「人間関係は大丈夫だろうか」という不安は当然持つでしょう。そこを先回りして「大丈夫だよ。安心していらっしゃい」と言えるかどうか。これは大変重要なことです。  ですから、「チームワークの良さ」に自身のある事業所は、ぜひとも、この部分は記載して、アピールしていただきたいものです。おそらく事業所としては、最大の「ウリ」になるでしょう。

「チームワークが良い」ということは、さまざまなメリットをもたらします。当然、離職防止にもつながる。離職率が低下することによって、メンバーが固定化していく。それによって、教育が浸透したり、相互理解が向上し、仕事がスムーズに回る。 スムーズに回ることによって仕事が効率化する。仕事が効率化することによって、残業が削減できたり、他の滞っている業務にも手が回る。  また職場の雰囲気がいいので、皆が気持ちよく仕事ができる。職員同士の良い雰囲気が利用者に伝わるので、利用者の居心地も良くなる、そうなればもっとこの事業所を利用したくなる。よって稼働率が上がり、売り上げがあがるという好循環を生み出します。  「チームワークが良い」ということは介護事業所経営の「核心中の核心」と言っても過言ではないと私は思っています。「チームワークの良さ」を構築するのは、決して簡単なことではありません。しかし、自信があるのであればぜひアピールしていただきたいし、それがわかる具体的なエピソードをまじえ、記載していただきたくと訴求力が上がります。  最後にまとめますと、職員募集の際には、「うちの事業所で働くことで、どのようなメリットが得られるのか」といった観点で考え、それを伝えることが非常に大切です。蝶は追いかければ逃げていきます。蝶が止まりたくなるような、「花」のような事業所を目ざしてください。そうすれば評判が評判を呼び、自ずと職員は集まってくるでしょう。

八王子市の介護経営に強い社労士(社会保険労務士)よしざわ社労士・社会福祉士事務所 吉澤 努